14. 食品の本来の味を届けるために(藤田 純一)藤田:以前、テレビで観たのですが、スーパーでは、刺し身や魚も、食中毒防止のため、塩素系で殺菌するんです。だから、「スーパーで買ってきた刺身を一番美味しく食べるにはどうしたらいいのか」っていうのを解説していたんです。やり方としては、「流水で洗い流して、表面の塩素を取ってやって、キッチンペーパーで水分をふいて、わさびじょうゆで食べる」と言っていました。理に適ってはいるんですが、よくそこまで突っ込んで番組を作ったなとは思いましたね。―塩素ですか。藤田:だから、何をメインの目的として食品を作っていくかですよね。スーパーなどでは、販売する側の目線で作っている部分が多いので、安全性の確保というのを最優先にしているからなのでしょうけど。その為に、...2021.02.20 09:10ウニインタビュー東北プロボノプロジェクト
13. 子供の頃の味覚は、一生残る(藤田 純一)藤田:不思議なもので、岩手県の一関とか内陸の方の人たちは、やわらかいワカメを好むんですよ。なぜかと言うと、私の考えですが、昔、気仙沼から行商で、60代~80代ぐらいのおばあちゃん達が内陸の方に背中にワカメを背負ったりして、電車で販売に行っていたからだと思うんです。―おばあちゃん達がワカメを販売に行ったのですか?藤田:はい。昔うちのお婆さんなんかも、昭和50年代頃は,行商で海産物を海から遠い地域に売り歩いたんです。それで、歯ごたえのあるワカメは品質が良く、地元でも販売できるので、等級が下のやわらかいワカメを販売用にもっていっていたと言っていました。それで、やわらかいワカメを昔から食べていたことが関係していると思います。あと、内陸の人達...2021.02.18 09:22インタビュー東北プロボノプロジェクト食育ワカメ
12. 塩蔵ワカメと乾燥ワカメ(藤田 純一)―基本的なことかもしれませんが、ワカメを塩漬けする理由って何でしょうか?藤田:日持ちさせるためですよ。塩分を足すことによってワカメの中の水分が抜けやすくなるんです。塩分濃度が濃いものは、細菌が繁殖しないので、悪くならない。ワカメを一昼夜漬け込んだ後、最終的に工場で、ワカメの葉っぱの部分と、茎わかめの部分に分けて、16tぐらいの圧力を加えてワカメの中から水分を抜くんです。そうすると、ワカメの中の水分量が無くなるので、冷凍庫の中で普通だと3年~5年ぐらいもつようになるんです。―3年~5年ももつんですか!藤田:脱水をちゃんとして、空気に触れないように保管すればね。2021.02.17 09:12インタビュー東北プロボノプロジェクト藤田商店食育ワカメ
11. 気仙沼の仕事や食を体験する(藤田 純一)―藤田さん、料理教室はやらないですか?コロナ禍で、みんな家でご飯食べるようになってきましたよね。そうすると一般の客さんの関心って、今まで話してきたような、食育とか、食の安全性と同時に、「おいしい作り方を漁師さんの口から聞きたいな」というのがあると思うんです。「気仙沼の人は、こうやって食べていますよ」という感じの動画を配信しながら、みんなにやってもらうというのも面白いですよね。何か、気仙沼ならではの料理の仕方とかもあったりするのでしょうか?藤田:カツオだったら色々食べ方ありますよ。以前は、大学生の春休みを使って漁師体験をしてもらい、夜に漁師飯を食べよう。という感じのことをしていました。―素敵ですね。藤田:大学生10人位に来てもらって、...2021.02.16 09:09インタビューカツオ藤田商店食育ワカメ
10. 料理を作る過程も、「食べること」の一部(藤田 純一)―私は、一般消費者の観点で、スーパーで販売されている商品と、さんりくみらいで作っている商品の違いが具体的にわかっていなかったんです。でも、他社の大規模な工場だと、海外からの輸入品で、冷解凍が繰り返されて鮮度の落ちた魚が混じってきてしまうが、さんりくみらいでは1回しか冷解凍していないことや、さんりくみらいの牡蠣は、ただの塩水ではなく、滅菌海水に漬けてあるなど、そういう違いをお聞きすることで、さんりくみらいの商品と他の商品の違いが具体的にイメージできるようになってきました。藤田:そこが、まだ発信しきれていない部分です。これからの伸びしろとも言えますね。私が人からよく言われるのは、直接人と話している時は色々しゃべってお伝えできるんですが、...2021.02.14 00:20東北プロボノプロジェクトインタビュー牡蠣食育
9.海産物と食中毒の関係(藤田 純一)―牡蠣の食中毒についてお聞きしてよろしいでしょうか?牡蠣って食中毒のお話をよく聞きますが、生産者の目で見て牡蠣に食中毒が出やすいか出にくいかというのは分かるものなのでしようか?藤田:牡蠣は元々、食中毒の可能性は持っているんです。以前私が勤めていたホテルでは、生食用の牡蠣はリスク回避のために出しませんでした。食べる人の体調が弱っている時は、あたったりすることあるようです。旅行者は、色んなところを観光して、思っている以上に体が疲れているじゃないですか、そういう時にリスクがあるものを食べると、あたってしまう可能性もあるのです。温度管理を国の定めている基準にして、塩素を強くして殺菌したとしても、あたる人はあたってしまいます。―牡蠣で食中毒に...2021.02.12 23:04東北プロボノプロジェクトインタビュー貝毒牡蠣ホタテウニ
8.温暖化で海のバランスが崩れてきている(藤田 純一)藤田:よく言われるのは、温暖化の影響で、2040年に、海で採れる魚で食べられるものが無くなるだろう、ということです。ここ5年くらいで、全国の漁師が感じていることだと思うのですが、海がおかしいんです。魚が獲れなくなってきているところが大半です。そうかと思うと、たまに、一つの種類だけ馬鹿みたいに獲れたりします。で、すごく豊漁にはなるんですが、1年で終わったり、という変な環境になっています。―2020年、気仙沼で、サンマがあまり揚がらなかったとニュースになっていましたね。藤田:史上最悪ですね。でも、サンマの収穫時期の前半にあまり揚らなかった割には、今の時期も、サンマが獲れているんです。ただ、120g以下が9割で、小さいサンマが大半なんです...2021.02.10 09:33温暖化カツオ東北プロボノプロジェクトインタビュー
7.ウニの問題への取り組み(藤田 純一)藤田:今、ウニの開口に行く人自体が減ってきているのと、海の資源の減少が、並行して起きています。資源の減少は温暖化のせいです。でも、ウニの数は増えているんですよ。―資源が減っているというのは?藤田:数が減っているのは、アワビなんです。一番の問題は、温暖化で海の中の海藻が減っていることなんです。海藻を食べて、ウニの実入りが良くなったり、アワビが成長していくんですが、餌となる海藻自体が減ってきているので、実入りの悪いウニがすごく増えています。ウニの個数は多いのに、中を開けてみると中身が入っていない。2021.02.09 10:23ウニノミクスウニ温暖化東北プロボノプロジェクトインタビュー
6.漁師の仕事と変化(藤田 純一)―藤田さんの年間のスケジュールと一日のスケジュールは、どのような感じなのでしょうか。藤田:年間スケジュールは、1月から5月まではワカメ、6月から8月のお盆あたりまでがウニの開口(かいこう)、9月から10月半ばくらいまでが、ワカメの陸(おか)での作業、例えば、養殖いかだを直したり、種まきシーズン、つまり種の挟み込みを行ったりという感じですね。11月、12月がお歳暮や宅配です。2021.02.06 10:29ウニ東北プロボノプロジェクトインタビュー
5.さんりくみらいを始めたことで変化した「やりがい」(藤田 純一)―今までは、漁師は、市場に魚を下ろす範囲までしか見えていなかったが、さんりくみらいを作ったことによって、色んな人の顔や考えが見えるようになった、とおっしゃっていたと思います。お客さんの顔も、見えてくるようになりましたか?藤田:そうですね。やはり、つながりで買ってもらったりする部分もあるので、お客さんの顔も見えるし、逆に、お客さんたちも、作り手の顔が見えやすくなっていると思います。生産側に立っていると、どうしても、「作って販売するだけ」なんです。「誰がどういう時に食べて、何を求めているか」が、生産者には伝わりにくいんです。そこがやはり、生産者の課題ですね。やりがいが、水揚げの数量だったり、金額でしか、感じられないようになっているので。...2021.02.06 09:58インタビュー東北プロボノプロジェクト
4.気仙沼という地域とのつながり(藤田 純一)藤田:すごくありがたいな、と思っているのは、経営未来塾で出会ったコンサルタント関係の人たちに、いまだに気にかけてもらったり、繋がりを作ってもらったりしていることです。私たちは経営未来塾の5期生だったんですが、1期から5期までの集まりもあるんです。1期から5期まで合わせて80人ほどいるので、その異業種間連携が、気仙沼はほかの地域に比べて進んでいます。2021.02.06 09:16東北プロボノプロジェクトインタビュー
3.さんりくみらいの商品へのこだわり(藤田 純一)藤田:なぜさんりくみらいが伸びているかというと、商品自体の味がいいからだと思います。大きい工場は、工場を稼働させるために原料を安定供給させなければいけないという第一課題があります。そのためには、気仙沼の市場だけだと足りないので、海外からも輸入したりするため、冷凍と解凍を繰り返した原料を使うことになります。もともと凍っている原料を解凍して加工して、商品になった時にもう一度冷凍する、というようなことをするんです。そして、食べるときにもう一度解凍するんです。冷解凍を繰り返すと、どうしても魚の味が劣化していきます。―冷解凍を繰り返すと、なぜ味が劣化してしまうのですか?藤田:ドリップが出てしまうからです。臭みが出たり、繊維が崩れていってしまう...2021.02.05 13:06インタビュー東北プロボノプロジェクト