11. 気仙沼の仕事や食を体験する(藤田 純一)

―藤田さん、料理教室はやらないですか?


コロナ禍で、みんな家でご飯食べるようになってきましたよね。そうすると一般の客さんの関心って、今まで話してきたような、食育とか、食の安全性と同時に、「おいしい作り方を漁師さんの口から聞きたいな」というのがあると思うんです。

「気仙沼の人は、こうやって食べていますよ」という感じの動画を配信しながら、みんなにやってもらうというのも面白いですよね。

何か、気仙沼ならではの料理の仕方とかもあったりするのでしょうか?


藤田:カツオだったら色々食べ方ありますよ。

以前は、大学生の春休みを使って漁師体験をしてもらい、夜に漁師飯を食べよう。という感じのことをしていました。


―素敵ですね。


藤田:大学生10人位に来てもらって、うちの工場みんなで調理をして、カツオを一匹、捌いて、アラと骨は、あら汁にして、半分は刺し身にします。あと半分は、火であぶってタタキにします。

最後に刺し身が少し残るので、それをお茶漬けにするんですよ。

カツオの茶漬け、うまいですよ。

少しだけ、ナメロウみたいな感じで、包丁で叩いてタタキを作って、ニンニクとショウガを薬味に入れて濃い目の醤油に5分位漬け込ませたのを、温かいご飯の上に乗せて、その上に、お湯をかけるんですよ。

レアみたいな感じでお茶漬けを食べるんです。


―そういうのは、なかなかお店で食べられないですよね。


藤田:ほとんど食べられないですね。

気仙沼の家だと結構ね、カツオを貰うことも多いので、刺し身を作っても残るので、それをどうやっておいしく食べようか、と工夫するんです。

多分、皆さんのイメージより、気仙沼の人たちは、刺身を結構食べますよ。

あとは、船に乗って、牡蠣を養殖する筏まで行って、牡蠣剥いて食べさせたりもしましたね。

県外から移住してきてシェアハウスを運営している若い子達が居て、そのシェアハウスに大学生が来るので、朝、ワカメの加工場に来てもらって、ワカメやメカブをしゃぶしゃぶしてそのまま食べてもらったりします。

メカブが一番びっくりされますね。

メカブをそのまま刻まないで、食べると、粘りが凄くて、海をそのまま食べている感じです。


ワカメの加工場では、一連の作業工程の説明をします。

ワカメを部位ごとに切り分けたあと、ワカメを茹でるんですが、茹でるのに海水を使うんです。

水揚げポンプ2台を使って別々に海水を引っ張ってきて、一本は海水を沸騰させ、一本は冷却用にそのままの温度にしておくんです。

なぜ海水を使うかというと、ホウレン草などを茹でるときに塩を入れるのと同じように、発色を良くさせるためなんです。

海水で茹でたワカメを海水で冷やすことによって、色の変化を止めるんです。

これは水道水では出来ないそうです。

その後、茹でたワカメを脱水して、ミキサーという機械に塩をいっぱい入れて、5分~7分ぐらい攪拌するんです。

機械の中でグルグルと攪拌すると、ワカメと塩が混ざっていくんですよ。

ワカメに塩を揉み込んでいるような感じだね。

次に、それをタンクに移して、出てきた水と一緒に重しをして一昼夜漬けこみます。すると塩蔵ワカメの原型ができるんですよ。

これを今度、工場の中に持って行って、70歳代80歳代ぐらいの人たちが、芯抜き作業っていう、ワカメと茎を一本ずつ手作業で分ける作業をするんです。

こういう、作業工程一連の流れを見せると、「ああ、こんなに手が掛かっているんだな」っていう事が皆分かるから、やっぱりこれも体験学習みたいな感じですね。


―実際に見たりやってみたりしないと、色んなことが分からないですよね。


藤田:見た人たちは本当に「こんなに手間がかかっているの?」って言うぐらい、やっぱり手がかっている。


―ワカメって、本当に馴染みの深い食材ですけど、本当の姿を知らないですよね。


豆腐とワカメのお味噌汁なんて、子供の頃から馴染み深いですけれど、どうやって作られているのか、考えたことなかったです。


藤田:99%ぐらいの人は分からないと思いますね。

さんりくみらいの想い

私たち株式会社さんりくみらいは三陸・気仙沼で生きる作り手と全国の食卓を笑顔で結ぶために、想いを共にする仲間たちと会社を設立しました。ECサイト 極上市場「三陸未来」の運営を中心に、リアルな販路開拓やプロモーションの実施。さらにパートナーとなる作り手(生産者、加工業者)を募り商品開発、技術開発を共に行い切磋琢磨できる環境を作ります。