7.ウニの問題への取り組み(藤田 純一)


藤田:今、ウニの開口に行く人自体が減ってきているのと、海の資源の減少が、並行して起きています。

資源の減少は温暖化のせいです。


でも、ウニの数は増えているんですよ。


―資源が減っているというのは?


藤田:数が減っているのは、アワビなんです。

一番の問題は、温暖化で海の中の海藻が減っていることなんです。

海藻を食べて、ウニの実入りが良くなったり、アワビが成長していくんですが、餌となる海藻自体が減ってきているので、実入りの悪いウニがすごく増えています。

ウニの個数は多いのに、中を開けてみると中身が入っていない。


中身が入っていないウニを採っても、お金にはならないので、実入りの悪いウニばかりの場所では、ウニを採りません。

そうすると、そこでは、ますますウニが増えて、これウニだけが繁殖していき、さらに海藻が減ります。悪循環です。

ウニはすごく海藻を食べるんです。


だから、他の地区では、ウニの数を減らすために、とにかくウニを採ってきて、踏んでつぶして、廃棄までして、ウニを除去し、個体数を減らしています。

矛盾していると思いますが。

本当に実入りのないウニは、可食部が少しも無いんです。

ウニが繁殖力が強いのと、餌をたくさん食べるというので、悪い循環になってしまっています。


―海の海藻を増やすことはできないのでしょうか。例えば、植林のように・・・


藤田:ここ2,3年くらいに始まった取り組みとして、ブロックの中に海藻の種を植えて、海に投入したり、昆布やアラメという海藻を養殖して、その海藻自体は収穫せず、種を放出させるという取り組みも始まっています。


―その取り組みによって、環境が変わってきましたか?


藤田:いえ、目に見えて変わってくるのは、10年先の話になると思います。

とにかく、ウニが増えていて、いくら海藻を増やす取り組みをしようが、食べられてしまうので、まず、ウニを除去しなければいけないというのが課題です。


―除去した実入りの少ないウニを、陸(おか)に持ってきて、養殖したりはできないのでしょうか。


藤田:今、宮城大学や海洋大学がメインとなって、取り組みを始めています。

また、2021年の2月から、東京のウニノミクスという会社が入って、階上(はしかみ)地域の実入りの悪いウニを持ってきて、陸上採苗(さいびょう)の中で、2か月くらいかけて、昆布等で作った合成飼料、ペレットのような形で、餌を与え、実入りを促進させて、市場に流通させるという取り組みが、スタートする予定です。


※ウニノミクス株式会社


※階上(はしかみ)地域

気仙沼の一地区


※陸上採苗

養殖に用いるため、カキなど貝類の幼生やノリの胞子を付着させて採取する道具。


―それは、さんりくみらいのプロジェクトという形ですか?


藤田:そうです。

漁協には後援で入ってもらっていて、

そこに、さんりくみらいが手を上げました。

一人は誰か専属でつける必要があるので、今、人を探しているところです。


―それは、さんりくみらいのメンバーの方ではなく、また別の方を専属につけようということでしょうか。


藤田:はい。

吉田や千葉ができる部分はやってもらおうと思っていますが、私自身も年明けはワカメの作業がメインになり、5月までは身動きが取れなくなるので。


ウニノミクスのほうで、餌をやって成長させるというノウハウを持っているんです。

なので、ウニノミクスから、ノウハウや餌などの資材を無償で提供していただき、ウニの育成がうまくいくか、というのを、さんりくみらいが主体で実施していきます。

最初のうちは、さんりくみらいという名前は出さないかもしれないですけどね。

人件費や電気代は、さんりくみらい側で持つ必要があります。

あとは、生きたウニをテスト販売する予定なので、そちらで費用をペイできればな、と考えています。


今、ウニノミクスが、九州で、大きなプラントを作って、今年から進めている事業があります。全国で展開しています。

ウニノミクスは、ウニが増えてしまって海を荒らしている問題について、ウニを有効利用して、漁業者の収益につなげながら、持続的に発展させるような水産業を作りたいというようなビジョンを持っているんです。


ウニノミクスの収益としては、自社で作っているペレット(餌)の販売がありますね。

ペレットは、昆布メインの餌なんですが小指の爪くらいのサイズに固めたようなものです。

ペットフードのような。


―いろいろな取り組みがあるんですね。

さんりくみらいの想い

私たち株式会社さんりくみらいは三陸・気仙沼で生きる作り手と全国の食卓を笑顔で結ぶために、想いを共にする仲間たちと会社を設立しました。ECサイト 極上市場「三陸未来」の運営を中心に、リアルな販路開拓やプロモーションの実施。さらにパートナーとなる作り手(生産者、加工業者)を募り商品開発、技術開発を共に行い切磋琢磨できる環境を作ります。