4.悩みも売れた喜びも共有できる、さんりくみらい(千葉 豪)

―話は変わるのですが、さんりくみらいに参加された経緯お教えていただけますか?


他のメンバーと同じですが、経営未来塾で学んだ時に、藤田、吉田と問題意識が一緒だったということがあります。水産業の未来が、人手不足の問題など、「このままじゃいけない。」という思いが共通していたんです。そこで、アイリスオーヤマの大山会長が「お前らみたいなのが、一番一緒にやったらいいんだぞ。やってみろ。」って言ってくださって。


―やはり、組んだことによって、メリットは大きかったですか?


メリットは、自分が一番大きかったかもしれません。

「うちの商品は鮮度がいいんですよ。」って言っても、みんなそうやって売っているので、言葉に真実味が無かったんですけど、今回、さんりくみらいになることによって、「漁師と仲買いとやっているから、他とは違うんですよ。」という言葉に真実味が出てきた。というのがあります。


―形態として、より付加価値が加わったという感じですね。


やっぱり、取組み自体に賛同してくださるお客さんも多いので「うちの方も、そういうのをやっていかなきゃ駄目だよね。」って。


―漁業の新しい形ですよね。そういった会社さんは他にもいくつかあるのですか?

石巻にあります。気仙沼には無いですね。恐らく、いろんなところで漁師さんだけ。とかいう会社はあると思うのですけど、漁師と、仲買と水産加工場が一緒になっている会社は全国に無いと思います。


―モデルケースになっていくかもしれないですね。


やってみると楽しいんですよね。


―どういったところが楽しいと思いますか?


悩みを共有できるし、売れた喜びも共有できるし。ひとりでやってきた時よりも毎日が楽しいですね。


―今は、オンラインで会議をするんですか?


直に会って会議しています。なんだかんだで、毎日話すことはあるので。今日も、吉田とは鮮魚セットの中身について相談したりしていました。


―経営未来塾で、吉田さんと藤田さんと初めてお会いしたんですよね。第一印象はどうでしたか?


やっぱり同じ水産業なので、どちらかというと「敵視」していましたね。


―「敵視」って。同じ場にいるだけで、「敵だ。」って感じなんですか?


まあ、そんな感じです。普通はそんな感じです。みんな毛嫌いしている。

それそれぞれの不満をそれぞれのせいにしているというか・・・。

「魚が売れないのは、お前らの魚が悪いからだ」とか。漁師さんは、「稼ぎが悪いのは加工屋が高く買わないからだ」とか。


―「買いたたかれてしまう。」みたいな感じでしょうか・・・。負の連鎖みたいになってしまっていますね。

始まる前は、手を組むって感性は無かったでしょうね?


吉田に関しては、未来塾でも同じ班だったので、すぐ仲良くなったんです。藤田はその後くらいから。


―同じ場所で、顔を突き合わせて話をしているうちに印象が変わってきたのでしょうか?


印象はかなり変わりましたね。それぞれが作った会社の未来構想などを聞いていると、段々目標が同じような感じになるんですよね。「こいつもこんなことを考えているんだな。」って。


―最初は敵視していたのに、同じ会社をやっている。というのがいいですよね。


集まってみると3人バランスが良かった。ほんとに良かった。一度もケンカしたこと無いですし。一番吉田が年上で、一番藤田が年下で、自分が真ん中なんです。

そういうバランス関係も丁度いい。藤田は、テレビやラジオに出たり広報をやる。自分はそういう仕事はやりたくないので。藤田に任せる。


―役割分担的にはどのような感じになっているのでしょうか?


自分は営業部長的な感じですね。藤田が広報。吉田がお目付け役。みたいな感じです。

社長の藤田はああ見えて繊細なんです。


―藤田さんのどういうところに繊細さを感じますか?


小さいことでも、「こういう方がいいんじゃない?」とか。金銭感覚も3人 商売柄違いますね。藤田は漁師なんで、現金商売なんです。何を買うんでも現金なんです。


―クレジットカードを持たない男なんですね。


そうですね。札束をいっぱい入れて、吉田のところでタコを買ったりとか。

漁師さんのお金の使い方はそんな感じで。海に近づけば近づくほど、現金払いなんです。

さんりくみらいの想い

私たち株式会社さんりくみらいは三陸・気仙沼で生きる作り手と全国の食卓を笑顔で結ぶために、想いを共にする仲間たちと会社を設立しました。ECサイト 極上市場「三陸未来」の運営を中心に、リアルな販路開拓やプロモーションの実施。さらにパートナーとなる作り手(生産者、加工業者)を募り商品開発、技術開発を共に行い切磋琢磨できる環境を作ります。