―話は変わりますが、千葉さんの事業は何代目ですか?
自分は32歳で起業し、1代目です。
―それまでは、何をされていたのですか?
親父も水産業をしていたのですが、会社を畳んだので、
自分で起業しました。20歳のころは、築地で小揚(こあげ)を3年、競り人(せりにん)を2年くらいやらせてもらいました。
―競り人って、スピードが速くて難しそうですよね?
そうですね。なかなか慣れなかったです。時間も夜中の仕事だったし。3年位かかりました。
夜12時くらいから準備して3時くらいから売る。
―築地に行こうと思われたのはどうしてですか?
親父の会社を継ごうと思っていたので、丁稚奉公のつもりで修行に行きました。
―気仙沼に戻ろうと思ったきっかけは何かありますか?
父が事業を畳んだ後は、1年くらい、無職だったんですが、地元の友人が、空いている工場がいっぱいあるので、やってみないか。ということで、地元で始めたのがきっかけです。
―事業を始めた頃と、取扱い商品は変わってきていますか?
今も、ずっとやっているのですが、初めは、下請けの仕事が100%で、その時は、サバとアジフライです。
―活(かつ)穴子の取扱いを始められたのは、わりと最近なのですか?
震災後ですね。震災後「やっぱり、いつまでも下請けだけでは良くないな。」と思って
「どうせやるなら人が真似できないものをやろう。」と。穴子だったら、真似しようと思っても真似されるまで5年くらいかかると思ったので、「最初に難しい穴子をやっておけば
後は楽かな。」と思って。
―それまでは、気仙沼では穴子を扱う会社は無かったのですか?
いえ、いっぱいあるんですけど、活魚出荷、いわゆる、生きたまま出荷するのが常でした。
―千葉さんのところはどういった??
うちは、穴子を活(生きたまま)で買ってきて、それを活シメして煮穴子にします。
あとは、去年くらいから穴子の刺身を始めました。
―穴子のお刺身っていただいたことないのですが、どういったところで食べられるのでしょうか?
自分も食べたことは無いのですが、西の広島などではよく食べるようです。
結構売っている値段も高いので、一人当たり、5,000円~10,000円の単価のところではないと出てこないのかな。と思います。
―先ほど、「穴子なら難しいと思った。」とのことでしたが、それはなぜでしょうか?
穴子は鰻と一緒なので、捌けるようになるまで、何年もかかるんです。
―綺麗に捌くのが難しいんですね。
そうなんです。大量に穴子を作っている工場があって、昔の伝手で、そこで見せてもらいながら・・・。作り方的にはお寿司屋さんみたいに、1匹1匹丁寧には作れないけれども、流れ作業的な部分も取り入れながら手作りしています。中間的な立ち位置でやっています。
―千葉さん以外にも、穴子を捌ける方が何人かいらっしゃるんですか?
今、自分以外には一人ぐらいしかいません。やはり、覚えるのに1年くらいはかかったので。
―そんなにかかるのですね。うなぎは、背開き、腹開きとあると思いますが穴子はどうなのでしょうか?
関東・東北は「背開き」、関西は「腹開き」ですね。うなぎと一緒ですね。
―開き方の違いに何か理由があるのでしたっけ?
確か、関東は、「切腹」をイメージさせるから背開きって聞いたことがあります。
―面白いですね。
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