3.サメをめぐる食生活の変化(吉田 健秀)

―気仙沼には、サメを扱う業者さんは沢山あるのですか?


吉田:10社くらいですね。少ないと言えば少ないですね。


―環境の変化で、サメの漁獲量は変わってきましたか?


吉田:環境の変化だけでなく、サメの漁船が減ってきましたね。高齢化などもありますが、大変な仕事です。

獲る時点で、サメは生きているわけですから。


―カネヒデ商店さんは、お父さんの代から、お商売をされているのですか?


吉田:祖父の代に創業して、ずっとサメを扱っていますが、私の代でちょっと仕事の形態を変えています。


―どうように形態を変えたのでしょうか?


吉田:「かまぼこ」最近食べていますか?


―「笹かまぼこ」はたまに食べますけど、普通の板に乗っているかまぼこは、お正月くらいしか食べなですね。


吉田:そうなんです。昔は、それこそ、毎日かまぼこを食べていた家も多いと思いますが、最近、練りものの消費量が減ってきて。

カネヒデの場合は、メインの練りもの取引先が、豊洲への移転問題で突然商売を辞めてしまって。

お客さんを突然失って途方に暮れて、先行きが心配になった時に、経営未来塾のお誘いがありいい機会だなと思って参加したんです。


―経営未来塾がきっかけで、何か商売の内容は変わりましたか?


吉田:サメだけではなくて、他の商売もしたいなと思っていたし、サメ肉をもっと食べてもらいたいな、という思いもありました。


経営未来塾の同じ班で、今、一緒に会社を作っている、水産加工業者の千葉(豪)も経営未来塾に参加していて、自分は、サメ肉の加工品なんかを作ってもらいたかったし、千葉(豪)も、もっと色んな魚を買いたい。と思っていたかもしれません。


千葉(豪)には、うちから魚をいっぱい買ってもらいました。

震災後の仮設工用から新しい工場を建てたばっかりだったのに、練りものの仕事はなくなって、途方に暮れていた時に、千葉(豪)がお客さんを紹介してくれて、仕事を探し出してくれました。それで、売り上げを落とさずに済んだんです。この恩は一生忘れられないです。今はお互いに近い間柄なので、口には出しませんし、真相は闇の中なんですけど、「手助けしたいな。」って思ってくれていたんじゃないかと思います。


―今は、サメのすり身のお仕事は、どうなったのでしょうか?


吉田:規模は縮小していますが、継続しています。今は、切り身にも力を入れています。

実は、サメの身は、高たんぱく低カロリーの健康食ってことで、筋肉系の人なんかに人気が出てきました。

あと、サメは背骨だけで、脇骨が無くて骨一本で終わりなんです。


―それは、食べ易いですね。


吉田:そうなんです。食べ易く、取り扱い易いということで、ここ最近は、介護食とか、病院食にも取り入れられるようになりました。だから、今、切り身として頑張っているところです。学校給食などにも使われています。


―サメの新しい流通が出来ていいですね。

さんりくみらいの想い

私たち株式会社さんりくみらいは三陸・気仙沼で生きる作り手と全国の食卓を笑顔で結ぶために、想いを共にする仲間たちと会社を設立しました。ECサイト 極上市場「三陸未来」の運営を中心に、リアルな販路開拓やプロモーションの実施。さらにパートナーとなる作り手(生産者、加工業者)を募り商品開発、技術開発を共に行い切磋琢磨できる環境を作ります。