―牡蠣の食中毒についてお聞きしてよろしいでしょうか?
牡蠣って食中毒のお話をよく聞きますが、生産者の目で見て牡蠣に食中毒が出やすいか出にくいかというのは分かるものなのでしようか?
藤田:牡蠣は元々、食中毒の可能性は持っているんです。
以前私が勤めていたホテルでは、生食用の牡蠣はリスク回避のために出しませんでした。食べる人の体調が弱っている時は、あたったりすることあるようです。
旅行者は、色んなところを観光して、思っている以上に体が疲れているじゃないですか、そういう時にリスクがあるものを食べると、あたってしまう可能性もあるのです。
温度管理を国の定めている基準にして、塩素を強くして殺菌したとしても、あたる人はあたってしまいます。
―牡蠣で食中毒になるかどうかは、牡蠣が育った海の環境とか、餌とかで変わってくるのかな、と思っていたのですが・・・。
藤田:多分、元々、牡蠣自体にそういう要素があるんですよ。あと、加熱しても食中毒になる人はなるので。牡蠣は水を浄化するし、逆にホタテは毒を貯めるんです。
―牡蠣は周りの水を浄化する?
藤田:はい、牡蠣は周りの水を浄化するんです。
牡蠣自体は、例えばプランクトンと貝毒が入ってきても、体の中から排出するので、貝毒っていうのがないです。その代わり、ノロウイルスが出たりする時期があったりします。
―これは時期的なものなのですか?
藤田:海の水質の問題ですね。
ホタテっていうのは体の中に毒を溜める性質を持っています。1回貝毒が出てしまうと、出荷自主規制が出て、規制が解除になるまでに3週間かかってしまうんですよ。今年は5月~10月まで貝毒の時期でした。
―貝毒などは、収穫した後にわかるものなのですか?
検査しているので、わかります。牡蠣、ホタテは、ノロウイルスの検査をしています。
貝毒になるようなものは、他の貝もやっています。
1枚の貝というのは貝毒にならないんですよ。
1枚の貝、アワビなどは、プランクトンを食べ物としてないんで、貝毒にならないんです。ホタテは2枚じゃないですか。
上と下の蓋のあるやつは、水を吸い込んで、プランクトンなどを食べて成長するので、牡蠣とかホタテは貝毒になったりするんですよ。
アワビみたいに片貝で身がついているのは、海藻を食べたりするのでプランクトンが餌じゃないから貝毒になりにくいんです。
―なるほど。
藤田:餌の問題ですね。
ただ最近は貝毒の発生比率が高まってきています。ホヤもプランクトンを食べたりするので、貝毒になったり、アサリもたまに貝毒になります。アサリを捕食するカニなんかに貝毒が出るたりすることもあります。
―カニを食べて当たってしまう人もいるのですか?
藤田:貝毒を持つ餌を食べているから、貝毒になってしまうんです。ただ海藻には貝毒が無いから、海藻を食べるアワビは貝毒にならないです。
―じゃあウニも同じことですね。
藤田:ウニは、結構、雑食なんです。海藻も食べるけど、魚なんかも食べるんです。
たこ籠に、餌としてサバとかサンマを入れたやつにもウニが入ってきて、その魚を食べてます。
ウニは、ロープも食べます。
―ウニがワカメのロープとかを食べるんですか?
藤田:そうです。ロープは油製品で、油を使っている原料なので、そういうのも食べたりします。
1回にガツガツ食べるわけでは無いですけど、溶けるような感じでロープ食べます。
うちで、生け簀にウニを活かしていると、所々のロープが噛んだような跡みたいなのがついています。そのぐらい、ウニは雑食で食いしん坊です。
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