8.温暖化で海のバランスが崩れてきている(藤田 純一)

藤田:よく言われるのは、温暖化の影響で、

2040年に、海で採れる魚で食べられるものが無くなるだろう、ということです。


ここ5年くらいで、全国の漁師が感じていることだと思うのですが、海がおかしいんです。

魚が獲れなくなってきているところが大半です。


そうかと思うと、たまに、一つの種類だけ馬鹿みたいに獲れたりします。

で、すごく豊漁にはなるんですが、1年で終わったり、という変な環境になっています。


―2020年、気仙沼で、サンマがあまり揚がらなかったとニュースになっていましたね。


藤田:史上最悪ですね。

でも、サンマの収穫時期の前半にあまり揚らなかった割には、今の時期も、サンマが獲れているんです。

ただ、120g以下が9割で、小さいサンマが大半なんです。

小さいサンマを獲らなければ来年に繰り越せるのですが、日本の船が獲らなくても、

外国の台湾や中国籍の船が獲ってしまうというのもあって。バランスがすごく悪い。


―日本の領海には外国籍の船は来ないけど、日本の領海から出て行ったサンマを、外国籍の船が漁で獲るということですね。


藤田:そうですね。


―サンマは、冷たい水を求めて移動するのですか?どのような感じで回遊していくのでしょうか。


藤田:冷たい水を求めていきますね。

だから、温暖化の影響で、水温が上がってきているので、サンマが南下せず、北のほうに留まってしまうんです。


2020年も、サンマの群れが北海道のずっと沖のほうにいたので、そこに漁をしに行ったとしても、遠すぎて船の燃料費がかかりすぎてしまう。

また、戻ってこられなくなる可能性もあり、獲りに行けなかったんです。


今年、カツオも獲れなかったんです。

カツオは南から北上してくるので、九州あたりでも獲れます。

四国の高地や宮崎の船が多いのですが、


―土佐のカツオは有名ですね。


藤田:はい。

1月20日頃は、沖縄のずっと南で回遊していて、

3月、4月になるにつれて、だんだんカツオが北上していき、4月頃に千葉の勝浦でカツオが水揚げされます。6、7月になると、宮城の沖で獲れるようになる。で、さらに北上していって、北海道のあたりまで行き、その後、9月、10月頃に、北海道から南に下がってくるんです。

戻りガツオと言われているものです。


北海道のほうは餌が豊富だし、イワシを食べるので、カツオの身に脂がのります。

だから、戻りガツオは、「トロガツオ」と言われるくらい、脂がのっているんです。


今年、カツオが不漁だったのですが、中でも一番売れる中間のサイズが少なかったんです。

例年3,4kgくらいのサイズが一番取扱量が多いのですが、今年は、ピンガツオ※といわれる、1kgくらいのカツオか、

逆に、超特大といわれる5,6kgくらいのカツオがほとんどでした。

バランスがおかしいんです。

中間の大きさのカツオはどこに行っているんだ?という。

とにかく海が変です。


※ピンガツオ サイズが小さくて、売り物にできないカツオのこと


―世界的にも、二酸化炭素を削減していこうという取り組みがやっと始まった、というような状態ですよね。


藤田:二酸化炭素の量が年々増えていますからね。

魚にとって、水温の1度の変化は、陸での5度、10度くらいといわれるほど、影響を受けやすいんです。


だから、南の魚が、水温が熱すぎて北上して、食物連鎖のバランスが崩れています。

何かが増えれば何かが減るので。

サケが獲れないのは、南のブリが北上しているからで、ブリの腹を割ってみると、サケの稚魚が入っているということがあります。

今までいなかった魚がそこにいるようになって、ほかの魚が捕食されているんです。

生態系が変わってきてしまっています。


だから、三陸でも、今年、タコが豊漁だったりしましたが、タコはアワビが好きなので、アワビが採れなくなったりします。

タコかごにタコが入ってくると、アワビの殻を抱いていますからね。

さんりくみらいの想い

私たち株式会社さんりくみらいは三陸・気仙沼で生きる作り手と全国の食卓を笑顔で結ぶために、想いを共にする仲間たちと会社を設立しました。ECサイト 極上市場「三陸未来」の運営を中心に、リアルな販路開拓やプロモーションの実施。さらにパートナーとなる作り手(生産者、加工業者)を募り商品開発、技術開発を共に行い切磋琢磨できる環境を作ります。