藤田:以前、テレビで観たのですが、スーパーでは、刺し身や魚も、食中毒防止のため、塩素系で殺菌するんです。
だから、「スーパーで買ってきた刺身を一番美味しく食べるにはどうしたらいいのか」っていうのを解説していたんです。
やり方としては、
「流水で洗い流して、表面の塩素を取ってやって、キッチンペーパーで水分をふいて、わさびじょうゆで食べる」と言っていました。
理に適ってはいるんですが、よくそこまで突っ込んで番組を作ったなとは思いましたね。
―塩素ですか。
藤田:だから、何をメインの目的として食品を作っていくかですよね。
スーパーなどでは、販売する側の目線で作っている部分が多いので、安全性の確保というのを最優先にしているからなのでしょうけど。その為に、やっぱり、本来の味が損なわれている部分が凄く多いと思うんです。
ウニで言えば、ミョウバン水に浸けて板ウニにするじゃないですか。ウニはミョウバンにつけると、水分が抜けやすくなるんです。水分量が少ないと、賞味期限が伸びるんですよ。生ウニであっても5日~7日ぐらい持つようなウニになるんですが、私が扱っているウニは賞味期限が3日ぐらいなんです。
これはミョウバンにもつけないし、殺菌した水だけでやっているので、劣化が早いんです。
ただ、ミョウバン水につけたものとつけないもので、味が半端じゃなく違うんです。
本当にびっくりするぐらい味が違う。
なので、扱う方の利便性を考えるか、本来の味を届けるかっていうところが、販売する側の価値観の違いなんでしょうね。
―美味しいものを美味しい状態で食べてもらうために、ミョウバンを使わない、ということですね。
藤田:そのために、うちは、お客様への配送の際に着日指定をするんです。
でも、一般の販売店というのは、どちらかというと店側の都合で「この日はこの商品を出したい」とか、「まとめて出したい」、というやり方をするので、
「この週に発送します」という注文の取り方をするんですよ。
だから、ピンポイントで到着日時を決めて注文を取るような店は少ないと思います。
―そういうところもあるのですね。
私は、正直言うと、色々な産地直送のサービスがあるのを知っていても使わず、「近くのスーパーの商品で十分だ」と思っていたのですが、そう思ってしまうのは、やはり今お話いただいたようなことを知らなかったからかな、と思います。
藤田;やっぱり、利便性を考えると近くのスーパーというのは絶対必要だし、日々の暮らしの中で、たまに、「お客さんが来るから」とか「家族が揃うから」という特別な時に、「ちょっと、いいものを食べよう」というイメージで、産地直送のものを使ってもらうのがいいと思うんですよね。
ちょっとしたハレの日に使ってもらうのが一番多いかもしれないですね。
―そうですよね。
そうすると、「おもてなし料理として、こんな料理もできますよ」という情報を提供するのも、お客様に喜ばれるのかもしれないですね。
普段あまり海産物に触れない一般の消費者は、おいしい食べ方がわかっていないところがあると思うので。
藤田:そうですね。食べ方の説明はやっぱり、必要ですよね。
常に海産物を扱っている自分たちと、一般の消費者との価値観とがずれているのが、
私たちの課題ですね。
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