13. 子供の頃の味覚は、一生残る(藤田 純一)

藤田:不思議なもので、岩手県の一関とか内陸の方の人たちは、やわらかいワカメを好むんですよ。

なぜかと言うと、私の考えですが、

昔、気仙沼から行商で、60代~80代ぐらいのおばあちゃん達が内陸の方に背中にワカメを背負ったりして、電車で販売に行っていたからだと思うんです。


―おばあちゃん達がワカメを販売に行ったのですか?


藤田:はい。昔うちのお婆さんなんかも、

昭和50年代頃は,行商で海産物を海から遠い地域に売り歩いたんです。

それで、歯ごたえのあるワカメは品質が良く、地元でも販売できるので、等級が下のやわらかいワカメを販売用にもっていっていたと言っていました。

それで、やわらかいワカメを昔から食べていたことが関係していると思います。


あと、内陸の人達は、しょっぱいものを好むんです。

鮭とかでも、甘塩じゃなくて、塩が強くて、焼いて食べてもしょっぱいなっていう位でも、年配の人になればなる程、「昔、子供のころ、こういうのを食べさせられたんだよな」とおっしゃることが結構多いですね。

なぜ塩味の強いものを好むかというと、行商で行く時に、昔は冷蔵庫がなかったので、保存をきかせるために塩を強くしたからなんですよ。


―それが、内陸の人達の食文化として残っているってことですね。面白いですね。


藤田:不思議なのは、子供の頃の味覚っていうのは、一生残るんですよね。

「お母さんがこういう風に作ってくれた、母ちゃんの味」だとか、

「子供の頃、家で買って食べていたのは、こんなにしょっぱかったんだよな」っていうのをよくお客さんから言われるんです。


だから凄い。食文化というのは面白いなと。

「子供の頃に旨いものを食べさせろ」じゃないですけど、子供の頃に本物の味を覚えさせれば本当に旨いものっていうのがわかるんですよ。

夏場に東京の学校の子供達が来た時に、軽トラックの上でウニを割って、活きたウニをその場で食べさせるんですよ。

子どもたちはやっぱり感動するでしょ。

「回転寿司でいつも食べているものと全然違う。」みたいな感じで。


―違いますよね。新鮮なウニって。


藤田:ただ、その後、PTAなんかから連絡来ると、

「いやぁ藤田さん、大変なことをしてくれましたね。」みたいな感じで。


―舌が肥えて、東京で食べる何万円も出すような食材の味を知ってしまったんですね。


藤田:やっぱり、食育ですよ。


―本当においしいものを食べた方が、健康にもいいですよね。


藤田:そうですね。

さんりくみらいの想い

私たち株式会社さんりくみらいは三陸・気仙沼で生きる作り手と全国の食卓を笑顔で結ぶために、想いを共にする仲間たちと会社を設立しました。ECサイト 極上市場「三陸未来」の運営を中心に、リアルな販路開拓やプロモーションの実施。さらにパートナーとなる作り手(生産者、加工業者)を募り商品開発、技術開発を共に行い切磋琢磨できる環境を作ります。