5.さんりくみらいを始めたことで変化した「やりがい」(藤田 純一)

―今までは、漁師は、市場に魚を下ろす範囲までしか見えていなかったが、さんりくみらいを作ったことによって、色んな人の顔や考えが見えるようになった、とおっしゃっていたと思います。お客さんの顔も、見えてくるようになりましたか?


藤田:そうですね。

やはり、つながりで買ってもらったりする部分もあるので、お客さんの顔も見えるし、逆に、お客さんたちも、作り手の顔が見えやすくなっていると思います。

生産側に立っていると、どうしても、「作って販売するだけ」なんです。

「誰がどういう時に食べて、何を求めているか」が、生産者には伝わりにくいんです。

そこがやはり、生産者の課題ですね。

やりがいが、水揚げの数量だったり、金額でしか、感じられないようになっているので。


それが、さんりくみらいで商売を始めたことによって、直にお客さんたちとつながるようになるじゃないですか。

そうすると、良かった点、悪かった点が、お客さんからご指摘いただけて、はっきりしてくるし、自分が獲ったもの、作ったものを、こんなに喜んで食べてくれる人がいるんだ、っていう、やりがいが感じられるんですね。

この点が、今の生産者には、少ないと思います。


―今の生産者は、お客さんに喜んでもらう、という点での喜びを実感しにくいけれども、

生産者とお客さんがつながることによって、働く喜びも出てくるし、やりがいになる、ということですね。


藤田:はい。

それがあればこそ、「もっといいものを作らなければいけないな」とか、「もっと厳選して送らなければいけない」という気持ちになっていくと思うんです。

今の販売の仕方だと、数量、数量、となってしまう。


―「質」よりも、「量」になってしまうんですね。


藤田:質と量の話で言うと、私、今、殻付き牡蠣を販売しているんですが、

他の漁師から、ひと籠分を買ってくるんです。

そこには、牡蠣が100個くらい入っています。

その中から、自分でいいと思った牡蠣を20個を選んで、出荷するんです。

そのくらい厳選すると、お客さんたちもびっくりするんですよね。


―「おいしいものが来た!」ってなりますよね。


はい。あとは、サイズが大きかったり、実入りが良いものですね。

そこが、目利きの部分ですね。


さんりくみらいの想い

私たち株式会社さんりくみらいは三陸・気仙沼で生きる作り手と全国の食卓を笑顔で結ぶために、想いを共にする仲間たちと会社を設立しました。ECサイト 極上市場「三陸未来」の運営を中心に、リアルな販路開拓やプロモーションの実施。さらにパートナーとなる作り手(生産者、加工業者)を募り商品開発、技術開発を共に行い切磋琢磨できる環境を作ります。