―今までは、漁師は、市場に魚を下ろす範囲までしか見えていなかったが、さんりくみらいを作ったことによって、色んな人の顔や考えが見えるようになった、とおっしゃっていたと思います。お客さんの顔も、見えてくるようになりましたか?
藤田:そうですね。
やはり、つながりで買ってもらったりする部分もあるので、お客さんの顔も見えるし、逆に、お客さんたちも、作り手の顔が見えやすくなっていると思います。
生産側に立っていると、どうしても、「作って販売するだけ」なんです。
「誰がどういう時に食べて、何を求めているか」が、生産者には伝わりにくいんです。
そこがやはり、生産者の課題ですね。
やりがいが、水揚げの数量だったり、金額でしか、感じられないようになっているので。
それが、さんりくみらいで商売を始めたことによって、直にお客さんたちとつながるようになるじゃないですか。
そうすると、良かった点、悪かった点が、お客さんからご指摘いただけて、はっきりしてくるし、自分が獲ったもの、作ったものを、こんなに喜んで食べてくれる人がいるんだ、っていう、やりがいが感じられるんですね。
この点が、今の生産者には、少ないと思います。
―今の生産者は、お客さんに喜んでもらう、という点での喜びを実感しにくいけれども、
生産者とお客さんがつながることによって、働く喜びも出てくるし、やりがいになる、ということですね。
藤田:はい。
それがあればこそ、「もっといいものを作らなければいけないな」とか、「もっと厳選して送らなければいけない」という気持ちになっていくと思うんです。
今の販売の仕方だと、数量、数量、となってしまう。
―「質」よりも、「量」になってしまうんですね。
藤田:質と量の話で言うと、私、今、殻付き牡蠣を販売しているんですが、
他の漁師から、ひと籠分を買ってくるんです。
そこには、牡蠣が100個くらい入っています。
その中から、自分でいいと思った牡蠣を20個を選んで、出荷するんです。
そのくらい厳選すると、お客さんたちもびっくりするんですよね。
―「おいしいものが来た!」ってなりますよね。
はい。あとは、サイズが大きかったり、実入りが良いものですね。
そこが、目利きの部分ですね。
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