2.さんりくみらいというチームを組むことで生まれたメリット(藤田 純一)

―自分たちで採ったものを、自分たちで加工して、販売までする。

お客様に商品が届くまでのスピードが上がって、鮮度もいい状態を保てますね。


藤田:そうですね。


私はもともと漁師をしながら加工・販売もしていたのですが、やはり一人でやっていると、原料が足りなかったり、調達できない、という課題があったんです。

それが、さんりくみらいのメンバーと組むことによって、気仙沼の市場から買い付けをしてもらったり、もっと仲間が増えれば、隣の浜の漁師とも組んで、そちらからも原料を調達することができたりするんです。


他のメンバーについては、というと、

カネヒデの吉田のほうは、さんりくみらい設立前は、もともとサメ専門でやっていました。

サメは、かまぼこやはんぺんなどの練り物の原料として使われていました。

これは、震災前からなんですが、練り物の需要が減ってきていて、練り物業界が徐々に衰退していました。

フカヒレ自体も、昔から比べれば、徐々に需要が落ちてきていました。


―中国でのフカヒレ需要が下がってきたという話もありますね。


藤田:そうですね。

そのような中で、吉田にも、サメだけ扱っていて、

「本当にこの5年後、10年後、商売として継続できるのか?」

という不安がありました。


千葉は水産加工会社を営んでおりましたが、

気仙沼の水産加工業者には、下請けの作業が結構多かったんです。

大きな会社の下請けの仕事を請けて、下処理をするような仕事が多かった。

そのような仕事の場合、利益率が低いんです。

工場自体は、人も使うので、稼働状態にはなるのですが、ある程度の金額が決まっているので、利益率が低い。

だから、千葉のほうでも自社で商品を作って、

「自分の利益をプラスした商品を作りたい」という思いがあったんです。

それらの点が、さんりくみらい設立後の今、

皆ある程度改善されてきているのかな、と思います。


―新たな原料の買い付けや、流通でのコスト削減などの部分が、機能し始めたという感じでしょうか。


藤田:そうですね、私の場合で言えば、吉田に、市場で買い付けをしてもらって、タコや、タコを採るための餌を気仙沼の市場で仕入れて、餌を作ってもらったりしています。


―タコの餌って、どのようなものなのでしょうか。


藤田:サバを使います。


―サバが餌とは、豪華ですね。


藤田:人が食べられるレベルの鮮度とサイズのサバを使っています。

25キロくらいの長方形のブロックにしてもらって、それを箱詰めして、冷凍にしておきます。

タコは光り物が好きなんです。

なので、タコの餌に、サンマやサバを使うんです。

うちではサンマの宅配もしていますが、大きいサンマは宅配として売れるのですが、すごく小さいサンマはどうしても売れない部分があるので、一部は冷凍しておいて、タコの餌にします。


―一般のお客さんに売りにくい商品でも、

ほかの用途に利用しやすくなった、ということでしょうか。


藤田:そうですね。有効利用できるようになりました。


吉田の場合は、

以前はサメのみを扱っていたのが、今は気仙沼の市場で、私のためにタコやサバを買い付けたり、水産加工のMCF千葉のために

アナゴやカニやツブを市場で買い付けるようになり、ほとんどの魚種を取り扱うようになりました。


千葉に至っては、自社で煮アナゴを作ったり、ボイルしたカニを作ったり、吉田が買い付けたツブをボイル加工して、商品にしているので、自社の商品がかなり増えました。


―連携することにより、商品の種類が増えたのですね。お互いがお互いを補い合っている感じがしますね。

結果的には自分達だけでなく、お客様にとっても、いいお話ですよね。


藤田:そうですね。

さんりくみらいの想い

私たち株式会社さんりくみらいは三陸・気仙沼で生きる作り手と全国の食卓を笑顔で結ぶために、想いを共にする仲間たちと会社を設立しました。ECサイト 極上市場「三陸未来」の運営を中心に、リアルな販路開拓やプロモーションの実施。さらにパートナーとなる作り手(生産者、加工業者)を募り商品開発、技術開発を共に行い切磋琢磨できる環境を作ります。