―今回、さんりくみらいのことを色々お聞きさせていただきたく、藤田さんへのインタビューの場を設けさせていただきました。
それでは早速ですが、さんりくみらいの設立の経緯を教えていただけないでしょうか。
藤田:
もともと気仙沼で水産業を営んでいましたが、同じ水産業といっても、私は一次生産の漁師、現在さんりくみらいとして組んでいるカネヒデ吉田の吉田は市場の買受人、
MCFの千葉は、水産加工会社という立ち位置で、水産業の中でも3人それぞれ、立ち位置が違っていて、交わることが無かったんです。
お互いの顔もわからなかったし、
生産者である漁師からすれば、水産加工会社というのは、いまいちわからない人たちがやっているという感じでした。
そんな中で震災があって、震災の翌年から東北の経済同友会が入って、気仙沼市がバックアップして、人材育成の取り組みを始めました。
それが経営未来塾でした。
気仙沼市長が、
「工場、設備、資材などは、国のグループ補助金を活用して買いそろえることができるが、人材を育てなければ、地域が発展しない」
という思いをもっていて、地域の若手経営者、移住者、いろんな業種の人たちを集めて、人の考え自体を作り上げるような取り組み、人を育てるような取り組みがスタートしました。
経営未来塾では、半年間のスケジュールの中で、自分の事業構想を作っていくのですが、
やはり皆、自分自身で事業をしているので、
「自社の売り上げをどうやって伸ばすか」ということを最優先に、初めの頃は考えるんです。
事業構想を作っては発表して、経営塾のメンバーに聞いてもらうことを繰り返し、
「あなた達が本当に思っている課題、地域が持っている課題、本気でやりたいことは、それだけですか?」
ということを、常にフィードバックを受けながら、さらに事業構想を練っていくのですが、半年間学んでいく中で、色々とカリキュラムがあり、先行事例や全世界の取り組み、他と共感するという部分、人とつながって、他の人たちの力を借りながら進んでいくということなど、いろんなことを勉強していくうちに、塾生たちの価値観がだんだん変わってくるんです。
「自社よりも地域、他者」
「どうやって人に喜びを与えていくか?」
という流れになっていき、
最終的には、
「自社の売り上げを伸ばすというより、地域において自分が見つけた課題を解決して、地域に住んでいる人たちに、幸せになってもらおう」
ということを皆感じ取るんです。
最終的に一人一人が15分ほどのプレゼンをするのですが、その中で、今さんりくみらいとして組んでいるメンバーは、皆同じ水産業ということもあり、
「気仙沼で採れた美味しい魚を食べてもらい、本当の魚のおいしさを知ってもらいたい」
「魚を好きになってもらいたい」
「気仙沼に来てほしい、三陸を好きになってもらいたい」
という思いが一緒だったんです。
そこで、経営未来塾の塾長だったアイリスオーヤマ現会長の大山健太郎さんが、
「あなた達、同じ思いを持っているんだったら、一人でやるより組んだほうがいいから、会社を作りなさい」
ということをおっしゃられて、そこで初めて会社を設立しようということになりました。
今までの流通や商売の流れというのは、誰かが作ったものを誰かが買って、それを人に流すような販売が主流だったんです。
でも世の中の流れとして、メーカーベンダーといわれる、自社で製造して、自社で販売する形態が出て来ました。
アイリスオーヤマ自体もそうなのですが、自社ブランド、自社の中で考えてモノを作り、自社の中で販売できれば、中間のマージンがかからない。
そこで利益が生まれるので、他との差別化にも図れる。
自分たちで採ったものを、自分たちで加工して、販売まで持っていけたら、他にはない強みになるよね、ということで、そういう流れを作りたくて、「さんりみらい」という会社を設立しました。
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